PCB使用安定器の取り扱いについて
2016年1月13日
PCB含有コンデンサの使用実態について
放電燈安定器(蛍光燈安定器及びHID安定器)「PCB含有コンデンサ」の使用実態につきまして下記のとおりご案內いたします。
PCB含有の有無調査は「PCB含有の有無検索/証明書発行サービス」をご利用ください。
1.PCBとは何か?
PCBとは、ポリ塩化ビフェニール類の略で塩素を含む有機化合物の一種です。
- 用途
- 不燃性で高い絶縁性能をもつことから、高溫場所や高調波による溫度上昇が見込まれ、発火の危険性がある場所で使用する電気機器のトランスやコンデンサの「燃えない」絶縁油として重寶されました。その他各種化學工業や食品工業の加熱、冷卻工程の熱媒體、塗料やノンカーボン紙の溶剤、農薬の効力延長剤などに使用されていましたが、その毒性が問題となり、昭和49年に製造、輸入、使用が法令(化學物質審査規制法)で原則禁止されました。
- 物質
- 水に溶けにくいが油や溶剤に溶けやすい。常溫では安定だが高溫で分解する。環境中で難分解性であり、生物に蓄積しやすく慢性毒性をもつ。
2.PCB含有コンデンサ使用安定器の判定
※含有の場合、PCBは高濃度です。
蛍光燈安定器
弊社は昭和49年から施設用蛍光燈器具の生産を始めましたので、弊社製の施設用及び住宅用蛍光燈器具內蔵の安定器は、基本的にはPCBを使用したものはありません。ただし例外として、昭和49年以前に特注品として製造したことがあります。それらの商品のうち、次に該當する商品はPCB入りの安定器を使用した可能性があります。
蛍光燈安定器へのPCB含有コンデンサ使用を中止した1972年(昭和47年)9月以降の製造形式であればPCB非含有と判斷できます。また、低力率形安定器もコンデンサを使用していないため、非含有となります。
なお、グロースタータ式(形式にGL, GHを含むもの)及びPFから始まる形式は、製造年月に関わらずPCB非含有です。
PCB含有コンデンサ使用安定器內蔵特注形施設用蛍光燈器具の生産期間
特注形施設用蛍光燈器具については、昭和49年以前は例外的な仕入品であったため、PCB含有コンデンサ使用の有無は、內蔵安定器銘板の製造番號又は器具內電線の製造年表示により判定することになります。照明業界では昭和47年8月でPCB含有コンデンサ使用蛍光燈安定器の製造を中止し、昭和47年9月以降の安定器には「NO PCB」を一定期間表示したものもありますので、それが確認できた場合は製造年月が確認できなくても対象外の製品という判斷ができます。內蔵安定器銘板に製造番號表示がない場合は器具內配線の表示をご確認ください。器具內電線には約30cmに一箇所は西暦表示がありますので「1972」以前であれば、PCB入りの疑いがありますので、安全のため対象品として処置をお願いします。PCB內蔵品と判定した場合の処置は、安定器の電線を切斷し、器具から取り出す他は、HID安定器と同様です。なお、器具形式により特注品と標準品の判定は可能ですので、弊社までお問合せください。また、上記に該當しない製品でも設備設置後15年以上経過した製品については、安全にご使用いただける耐用の限度を超えておりますので、早期の交換をおすすめします。
※內蔵安定器銘板に表示の力率が85%より低い値の場合は低力率で非含有となります。
HID安定器
コンデンサを使用していない低力率形安定器 H-C(例:H4-C2A(B)など)?TなどにはPCBを使用しておりません。しかし、一部のHID安定器では、昭和47年3月まで生産の特定安定器におきましてPCBを使用していたものがありました。
PCB含有の判定方法
① 形式からのPCB非含有判定例
HID安定器
HID安定器はPCB含有コンデンサ使用を中止した1972年(昭和47年)4月以降の製造形式であればPCB非含有と判定できます。
また、低力率形安定器もコンデンサを使用していないため、非含有となります。
PCB非含有形式の例
(○:ワットを表す、形式の1A?2Bなどの“1”は100V、“2”は200V用、“A”は50Hz、“B”は60Hz用を表すが省略されている場合あり)
H○-T ?H○-C
ワットの後に続く記號が“T”?“C”のみの場合は低力率形を表す?!纠篐3-Tなど】
H○T A(B)?H○C A(B)?H○T 1A(B)?H○C 2A(B)
“T”?“C”の後に電圧や周波數記號が続く場合は低力率形を表す?!纠篐3-TA50、H4CA50、H7C2B51など】(低圧ナトリウムランプ用は除きます。)
- ※TC、CC、CLなどの高力率形は以下をご確認ください。
- ※力率は銘板に表示されています。50%、60%などであれば低力率形で非含有、85%以上の數値の場合は高力率形のため、以下をご確認ください。
形式末尾記號が41 、51 、352 など數字が2桁以上で、最後尾が“0”、“34”以外の數字は、1990年代以降の形式のためPCB非含有【例:H2CC2A41、H4TC1B51、H4CC2A352、H0.4TC1B351など】
蛍光燈安定器
蛍光燈安定器はPCB含有コンデンサ使用を中止した1972年(昭和47年)9月以降の製造形式であればPCB非含有と判定できます。また、低力率形安定器もコンデンサを使用していないため、非含有となります。
なお、グロースタータ式(形式にGL、GHを含むもの)及びPFから始まる形式は、製造年月に関わらずPCB非含有です。
PCB非含有形式の例
(○○はワット?燈數を表す:40W1燈用が41、他、42、21、22など)
- PF○○?????形式先頭に“P”付きは1980年代後半以降の形式
- F○○SRS、SRHなど??省電力形で対象期間以降の形式
- F○○GL、GLD、GLW、SGLなど????“GL”は低力率形を表す形式でコンデンサ不使用
- F○○GH????低力率形安定器に外付けコンデンサ(非含有)を接続した形式
- 1A(1B?2A?2B)-□、-□T???形式末尾の記號で電圧と周波數を表す「1A等」の後に、ハイフン“-” に続けて數字、または數字と記號がついている形式【例:F42SRS1A-2、2B-3T など】
ただし、“-□”、“-□T”での非含有判定は、W41?W42から始まる形式の場合を除く。
② 安定器銘板內製造番號の確認
HID安定器銘板內の製造番號は、製造年(年號)+數字3桁の場合と數字4桁の場合があります。PCB含有対象となるHID安定器はほとんどの場合、製造番號が「昭和○○年…」の表示品と、數字4桁表示で1972(S47)年3月までの製造品(HID安定器の場合)となります。なお、數字の持つ意味は下記のとおりです。また、アルファベットをはさんだ5桁の製造番號のものは、PCBを一切使用しておりません。
製造年(年號)+數字3桁の例[含有可能性あり]
數字4桁の例[含有?非含有両方の可能性あり]
アルファベットをはさんだ5桁の例[PCBは使用しておりません]
③ 安定器口出線の製造年の確認
前記安定器銘板內製造番號は、古く確認できない場合があります。また、古い安定器の場合、製造番號が4桁で10年ごとの同番號使用のため斷定できない場合があります。その際は、安定器口出線に製造年が表示されている部分がありますので、安定器製造時期が推定できます。製造年表示が1973年以降であれば、PCB含有コンデンサを使用した安定器ではありません。
上記②~③のいずれかに該當し、PCB含有コンデンサが內蔵されていると判定された安定器は、速やかに交換してください。なお、PCB含有コンデンサは、法令上、廃棄処分することはできません?!?a href="pcb2.html">PCB使用電気機器の取扱い規程」をお読みください。
- ※PCB含有安定器の分解?解體禁止
弊社製のPCB調査対象となる高力率形安定器はコンデンサ內蔵タイプのため、分解?解體は原則禁止となります。
JESCO(中間貯蔵?環境安全事業株式會社)ホームページにも分解?解體に関する情報が掲載されています。
PCB(高濃度)含有の可能性がある安定器
対象は1972(S47)年3月までに製造の高力率形安定器
「PCB含有の判定方法」②③で製造年月が含有対象期間に該當する場合は、含有可能性ありの判定となります。